売買契約を締結する際の重要書類(1)物件状況報告書とは?
売主様が買主様となるお客様と売買契約を締結する際、重要な書類が2つ存在します。ひとつが「物件状況報告書」、もうひとつが「付帯設備表」です。どちらの書類も、マンション、戸建を問わず必須の書類となっています。そこで今回と次回の2回に分け、物件状況報告書と付帯設備表についてご説明しましょう。
売買契約締結までの2つの書類の流れ
物件状況報告書と付帯設備表、どちらも売主様から見た作業の流れはこうです。まず、専任媒介契約を結んだ不動産会社が「物件を購入してくれるお客様が見つかったら書いていただく書類です。よく見ておいてください」と、両方の書類のフォーマットを置いていくはず。売主様は、2つの書類にどのような内容を記載するのか、あらかじめよく見ておきましょう。
買主様が見つかったら、不動産会社の担当者とともに書類を作成していきます。不動産会社によってフォーマットは異なりますが、すでに質問項目が記載されている場合がほとんどです。不動産会社の担当者が項目に沿ってヒアリングしていきますので、お客様はそれらの質問に答えていけばOKです。
そして、買主様を交えた売買契約締結の場において、不動産会社がこれらの書類の内容について説明。その後、売主様と買主様に署名捺印していただき、双方に書類をお渡しします。
不動産の現況を伝える物件状況報告書
物件状況報告書は、その名の通り、売主様が売却する不動産の状況を買主様に説明するための書面です。たとえば、「数年前に2階の洋室から雨漏りがしたことがある」「近くで流れている川が氾濫したことがある」「臭気を発する工場がある」など、内見の際に見るだけでは判らない不具合や環境、あるいは、「部屋で人が亡くなった」といった心理的瑕疵や近隣の建築計画、土地売却の場合は土壌汚染に関することなど、売主様が知り得る範囲のことを記載します。
“知り得る範囲”ですから、売主様が購入する以前にまで遡って調べる必要はありません。様々な項目について、売主様は「知っている」「知らない」で答えていきます。また、「5年前にキッチンを新しいものに入れ替えました」といったリフォーム履歴を記載するのもこの書面です。
まとめ:いま分かっていることをきちんと書面に残す
物件状況報告書は、「住んでみないと分からない」「暮らしてみないと分からない」事についてお客様に伝えるための重要な書類です。あらかじめお客様が知っていれば避けられたであろうトラブルやクレームを避けるために“覚書”として取り交わしておくと考えてください。「売買契約締結時の不動産はこういう状況でした」という内容を売主様と買主様の双方が確認し了解したことの証拠になる書面です。
売買契約締結後、不動産を引き渡し、お客様が実際に住み始めてから不具合が発生したり発覚した場合、それが物件状況報告書に記載されていないことであれば、損害賠償請求や裁判沙汰に発展することも無きにしもあらず。後々のトラブルやクレームを避けるためにも、分かっていることは包み隠さず伝えることが大切です。
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